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    Date
    • 2020年6月20日(土)16:00-17:00
  • Venue
    • Zoom会議(参加が確定した方にURLを前日にお送りします。)
  • Subjects
    • 上智大学の学生限定。先着30名。
  • Sponsor
    • 上智大学グローバル・コンサーン研究所
  • Application
    • こちらのリンクからお申し込みください。お申し込みには上智大学のメールアドレスが必要です。https://forms.office.com/Pages/ResponsePage.aspx?id=p-YOaaVN3E-jFrtZnYKl0vsV4Ddf7xFPnreqJkCewvtURUY5Q1c4TFA2RUc1TzFPREFKNUdWU0RLOS4u
  • Contact
    • グローバル・コンサーン研究所 i-glocon@sophia.ac.jp
第2弾 三浦まり先生からのメッセージとトーク・セッション
ジェンダーの視点から考える新型コロナウィルスへの対応 Vol.2

三浦まり

 私の専門はジェンダーと政治です。ジェンダーの視点から日本の政治を研究しています。日本政府が新型コロナウィルス感染に対して有効な政策を打ち出せていない理由の一つにジェンダー視点の欠如があると思っています。

 UN Womanは多くの人が自宅で過ごさなくてはならなくなったことで、ドメスティック・バイオレンス(D V)が「影のパンデミック」として広がっていると警告しています(https://japan.unwomen.org/ja/news-and-events/news/2020/4/violence-against-women-and-girls-the-shadow-pandemic)。女性にとって自宅は安心して過ごせる場所であるとは限りません。実際に、多くの国でD V被害が30%増したと報告されています。相談窓口にたどり着けたらまだいいのかもしれません。家の中で監視され、相談機関に連絡を取れない人もいることでしょう。

 日本政府もD V被害の拡大を懸念し、S N Sでの相談事業を拡大しています。ところが、現在支給中の1人10万の特別定額給付金が「世帯主」に「受給権」があると定められてしまったため、世帯主から住所を知られないように避難しているD V被害者や家出をしている若者などが受け取ることを難しくしています。現在、多くの女性団体や女性議員たちが動き、D V被害者に給付金が届くよう運用の改善を行っています。しかし問題はそれだけではなく、世帯主と同居しているD Vや虐待の被害者、協議離婚中の人など、受け取れない可能性も指摘されています。実際に、世帯主が世帯分を独り占めして、妻や子ども・孫などに渡していないという声が上がってきています。

 学生の皆さんも10万円を受給する権利があります。それなのにどうして、「世帯主」が世帯分をまとめて受け取るような制度になっているのでしょうか?初めから「個人」を対象として給付する仕組みになっていたら、世帯主(多くの場合は夫、父ですね)から暴力を受けたり虐待されたりしている人にも届くはずです。すべての家族が仲良く、平等な関係を築いているとは限りません。それなのになぜ、個人単位ではなく家族単位なのでしょうか。そして、なぜ「世帯主」なのでしょうか。

 2回目となるトーク・セッションでは特に「家族」に焦点を当てて、現在のコロナ対策がどのような問題を露呈させているのかを考えていきたいと思います。実は、私を含む女性研究者などが中心となり、コロナ対策にジェンダー視点を盛り込むよう声明を出しました。 https://covid19andgenderequality.jimdosite.com

 現在は、政党関係者と順次対話を行っており、個人単位の支援を整備するよう求めているところです。トーク・セッションでは、この対話の中で見えてきた論点をお話しし、どうしたらすべての人が取り残されない支援策を構築できるのか、参加者の皆さんと一緒に考えていきたいと思います。